看護師が謎の腫れと痛みで初めて造影CTを撮った体験談 〜バルトリン腺炎疑い〜

突然ですがみなさん、陰部が腫れたことはありますか?

生理でナプキン蒸れとかで痒くなってフェミニーナ塗るのはあるあるかなと思うんですけど、今回バンバンに腫れちゃったのでびっくりしました..。

今回は私が謎の外陰部の腫れと痛みで産婦人科と消化器外科をはしごした話と造影CTについてお送りしたいと思います。

 

 

 

前兆 〜原因不明の外陰部の腫れと痛み〜

まず、このお話の2年ほど前に私は一度バルトリン腺炎になっています。

そして今回の事の発端は今年1月。

気付いたら外陰部が腫れていて、タイツ履くと擦れて痛みが出るって感じでした。

バルトリン腺炎になった時の症状と似ていたので産婦人科を受診。

とりあえず飲んでみてと抗生物質が処方されました。

でも1つ目の抗生物質があまり効かず、抗生物質を1度変えて2種類目で効いたのか腫れと痛みが引いたということがありました。

その時の薬がこちら。

*クラリスロマイシン錠200mg(抗生物質内服)

1日2回 5日分

 

*ゲンタマイシン硫酸塩軟膏0.1%(こちらは外用薬、塗り薬です。)

 

 

 

 

効かなかったから薬が切れた2日後から…

*セフカペンピポキシル塩酸塩錠100mg(抗生物質内服)

1日3回 5日分

薬を変えても結局完全には腫れは引いておらず、奥の方に豆粒のようなものが残っていました。

医師からは完全になくなるのには時間がかかるかもと言われ、とりあえず痛みはないし腫れも気にならないくらいだったので様子をみることにしました。

 

 

 

原因不明の外陰部の腫れと痛みが再燃

そしてその約1ヶ月半後、再び同じ場所の外陰部の腫れと強い痛みが出現します。

そら

またかよ…(泣)

今回は前回と違う、長年の御用達の産婦人科さんへ。

確実に腫れているのに血液データ的には炎症兆候なし。

またとりあえず以下の内服が開始されましたが効果なし。

*クラビット錠500mg

1日1回 5日分 × 2回

かなり腫れていてこのまま手術するとかなり大きな傷になるので、点滴で様子をみて少しでも小さくしてから手術を再検討しましょうと主治医からお話がありました。

しかし、内服がまたしてもあまり効かずに腫れはやや小さくなった程度。

今度は抗生物質の点滴をすることになりました。

内容はこちら。

*ロセフィン(抗生物質の点滴)
グラム数は忘れちゃいました。笑

そこから2日に1回4回程度の点滴をしたところ、腫れは半分以下に。

しかし、ここまで腫れが引くならヘルニア系の可能性も考えられるのでと、外科に紹介されることに..!

正直、また病院かあ〜(泣)

と思いましたが、原因を究明して完治させるためには仕方がない。

次の週に消化器外科を受診しました。

その時にはもう腫れはほぼわからないくらいになっており、これまた医師を悩ませました(笑)

そこで次の日に造影CTを撮ることに。

人生初造影です。

 

 

 

造影CT

CT検査とは

CT検査は身体の周りからX線をあて、身体を通過したX線情報をコンピュータで解析し、全身の断層像(輪切りにした画像)を取得して画像化する検査です。

簡単に言うと、悪いところがないかどうか見るために身体の中を撮影する検査です。

レントゲン(こっちもX線使う)との違いは、一方向からか、多方向からかという点です。

レントゲンは真正面からの写真、CTはいろんな角度から撮って立体的にみられる写真、といったところでしょうか。

CT検査もX線を使用するため被曝しますが、使用する放射線量をできる限り低く設定しているので身体に影響がないレベルと言われています。

 

 

造影CTとは

場合によって病変を詳しく調べるために造影剤という薬を注射しながら撮影することがあります。

造影剤を使うことによって、画像診断の際に画像にコントラストをつけたり,特定の臓器を強調することができたりするんですね。

造影剤を使わない単純CTというものもあります。

造影剤にはCTや血管造影(アンギオ)などに使われるヨード造影剤,胃の検査に使われるバリウム,MRI検査に使われるガドリニウム化合物などがあります。

検査によって、採血の時のような細めの針で一瞬で注入することもありますし、点滴でつなぐこともありますし、やや太めの針で点滴でつなぐこともあります。

けれど針の太さを看護師さんに聞いたところで刺されるのは一緒です。

観念して動かず、気持ちよく刺されましょう(笑)

 

 

CT検査全般の注意事項

  1. 妊娠中や妊娠の可能性がある方は検査を受ける前に必ず申し出てください。胎児は一般的に放射線の感受性が高いので注意が必要です。
  2. ペースメーカーが入っている方も検査を受ける前に必ず申し出てください。X線からの光電効果による電流やノイズが原因で誤作動を起こしてしまう可能性があります。
  3. 全身の状態を観察するので、化粧・マニキュアは控えてください。これは医療全般に言えることなのですが、手と足の爪どちらもマニキュアをされてしまうと酸素濃度を経皮的に測れなくなってしまい、もしものことがあった時に大変困ります。せめてどちらかは何も塗らない状態で常時過ごしていただきたいなと一医療関係者としては思います。
  4. 時計やアクセサリー、下着など金属類は外していただきます。金属類は画像に影響が出てしまうことがあるんです。忘れず外しましょう。

 

 

造影CTの検査が決まったら

造影剤には副作用があります。そのため造影剤を使う検査が決まったら必ず同意書を書くようになります。

副作用について・・・

・軽い副作用(基本的には治療を要さないもの):吐き気、同期、頭痛、痒み、発疹など。

・重い副作用(治療が必要になるレベルのもの):呼吸困難、意識障害、血圧低下など。

 

非常に稀ですが、死亡する場合もあります。確率は病状や体質によって変わります。

発生確率はヨード造影剤で約16〜40万人につき1人、ガドリウム造影剤で約83万人につき1人とされています。

 

 

造影CT当日

検査前は施設や時間帯によって変わりますが、午前なら朝食抜き、午後なら昼食抜きとしているところが多いです。

絶食を実施している理由としては、造影剤を使用して嘔吐などの副作用が起きた場合、嘔吐物による誤嚥を防ぐためです。

水分は制限なしとしているところが多いですね。

 

 

造影CT前にやる処置

私が勤務していたところや私が実際に造影CT検査を受けた病院を基準にお話させていただきます。

まず検査前に着替えて点滴でライン確保します。そして生理食塩水(一般的に)を流します。

この時の針はいつもの採血のものより太いものでした。

また撮影する部位にもよると思いますが、造影剤の到達時間の関係で一般的にライン確保は右の腕にします。

そして検査前に名前や体調、バイタルサイン(主に血圧や脈拍)を確認し検査が開始されます。

そら

私は右腕の正中にいい血管がないから左にされたよ。

 

 

造影CT中

CT室に行き、点滴のラインがからまらないように注意しながら台の上に横になります。

台の幅は狭いのでマジックテープで身体を固定されます。

その後撮影場所まで台が動きます。

その後は撮影の位置を検査技師さんが合わせるのに微調整するのにまた台が動いたりするのですが、動くとずれちゃうので頑張ってじっとしていましょう。

私は最近乗り物酔いしやすくて、微調整の時に気持ち悪くならないかすでにビクビクしていました(笑)

場所が決まったら場合によっては何枚か一方向からテスト撮影するかもしれません。

そしていよいよ造影剤の注入です。

造影剤は点滴をしている場合は点滴のところから入ります。

痛みはありません。

ただ、造影剤が入ると身体があつくなったり、トイレに行きたいような感じがあるかもしれません。

私も実際に造影剤を注入されたら首のあたりからボワっと熱くなり、お腹のあたりまで熱さを感じました。

いつも看護師として患者さんに造影する時は熱くなると伝えていたものの、実際に自分が体験して「あ〜これか〜、これのことなのか〜!」とちょっと感動しました(笑)

注入の最後のあたりで、一瞬だけ気持ち悪くなりましたが吐き気までもいかず、撮影が再開する頃までにはなくなっていました。

私の場合は、首のあたりから胸のあたりまでボワッと熱くなると同時に気持ち悪さがきた感じでしたね。

けど一瞬でした。

その後は息を吸ったり止めたりという指示通りにして撮影し、何事もなく5分もたたずに検査終了です。

 

 

造影CT後

検査が終了したら、点滴を抜いて着替えて終了です。

終わったら造影剤が早く体外に流出されるように、十分に水分をとりましょう。

よく、点滴が全部終わってないのに抜いていいの?と言う質問がありますが、基本的には大丈夫です。

これは考え方の問題もあると思うのですが造影CTの検査時に点滴をする目的は、2つあります。

1つは腎不全の予防のためです。もう2つ目は、急変時にすぐ薬剤投与できるようにするためです。

腎不全についてですが造影剤は全て腎臓から排泄されるので、元々腎機能が悪い方は腎臓に負担をかけ、場合によっては腎臓の機能を低下させることがあります。

腎機能低下のある方にヨード造影剤を使用すると造影剤腎症(更なる腎機能低下や腎不全)を起こす可能性があるのです。

また腎機能が著しく低い場合には造影剤が体内に長く留まり腎性全身性線維化症というまれではありますが重篤な副作用を起こす可能性があるのです。

腎機能が正常な方は問題ないと言われていますが、大半の病院では造影CT検査時には生理食塩水で点滴をしながら行っていると思います。

※MRIでは使う薬が違うため、以前の勤務先では生理食塩水は使わなかったです。

 

 

 

結果

造影CTの解説の部分がかなり長くなってしまいました。

私の場合、結果的には腫れがなんだったのかわかりませんでした(笑)

造影CTをした時はすでに腫れが治まっていたので、それもあったのだと思います。

紹介状をチラッとみたところ、バルトリン腺炎の発症のことから書かれていたのでバルトリン腺炎だったのかなあ..。

結局婦人科系なのか、消化器外科系なのかすらもわかりませんでしたが、とりあえず紹介先だった消化器外科の先生とはバイバイして婦人科に検査結果を持っていき経過観察となりました。

というわけで初めての造影CT検査の結果は完全に不完全燃焼だったのですが、造影剤を使うという体験をして一医療者としてはいい学びになりました。

保険適応で1万円程の高い勉強代でしたが(笑)

 

 

初めて造影CTを受ける方や、医療者だけど自分自身は造影CTをしたことがないという方の参考になれば幸いです。